Project Description

#地元の声 #インタビュー

人情溢れるしおまち商店街の秘密を聞いてみた

お土産屋の店主 なおちゃん

亀井さん

・商店街の人気お土産屋「亀井堂」を営む。
・趣味は裁縫。お店には手作りの人形が並ぶ。

潮風漂うしおまち商店街で、みんなから愛され続けるアイドルがいる。瀬戸田で生まれ育って70年。亀井堂を営んでいる、亀井さんだ。人生の荒波を幾度と経験しながらも、それを「楽しさ」に置き換え自分と周りを笑顔に変えてきた。インタビューで緊張していた私もまた、亀井さんの魔法にかけられて、終始笑顔だった。今回のインタビューでは、瀬戸田の長年の変化に加えて、亀井さんが描く「理想の商店街像」に関して深くお伺いした。

忘れられないオイルショック、減少する観光ラッシュ
「元々瀬戸田は尾道と今治を繋ぐ通過点の一つでしかなかったので、ゆっくり島に滞在する人が少ない場所でした。ただそれでも当時は観光ラッシュで、人が通れないほど混雑していました。しかしオイルショックをきっかけに一気に観光客が少なくなり、同時に商圏が広がったことで現地の方々も外に出かけるようになりました。その結果、しおまち商店街が空洞化し、次々とシャッターが増えていきました。しまなみ海道開通(1999)やそのほかのイベント等により多少商店街が持ち直すこともありましたが、昔、人で賑わっていたあの光景には遠く及ばないですね。」

瀬戸田は、観光だけではない。造船と農業と観光で成り立っているんだ。
「まず忘れてはいけないんだけど、瀬戸田は観光だけで成り立っているわけではないんですよ。瀬戸田は造船業と農業と観光がすべて備わってこそ、初めて成立する場所なんです。外から見ていると観光にばかり目がいってしまうから、そこは注意しないといけない。あと大切なのはそれぞれを独立して考えるのではなく、観光・造船・農業等を総括的に考えて次の街づくりを考えていくことだと強く思います。」

瀬戸田はまだまだ伸び代がある。
「瀬戸田って本当にいいところなんですよ。こういうと胡散臭いけど笑。外から来た人にも親切に接してくれる方も多いし。実際自分が苦しいときにも手を差し伸べてくれる人が何人もいて、改めてここに住んでいてよかったなと思っています。ただこんないい街でも、まだまだ伸ばせる部分はあるはず。特に商業は商業で、観光は観光でとか一括りにするのではなく、どんどん連携していってほしいです。色々な人が偶然出会い、相互に連携し合うことで新たな可能性が次々に生まれて、もっとこの街がよくなっていくと思っています。そういう意味では昔は島同士の連携が強く、近くの島から嫁ぎに来られている人が何人もいました。その時みたいにもっと色々な人が連携している姿が増えていくことを願っています。」

郷に行っては郷をとにかく知れ。
「『郷に行っては郷に従え』という言葉があるけど、それって少しきつい気がするんですよね。瀬戸田に住むのであれば、最低限瀬戸田とはどういう場所なのか知ってほしいという気持ちはあります。特段難しいことでもなくて、普段の生活で何気ない会話をしたり、少し商店街を散策してみたり、些細な行動でいいんですよ。些細な行動を積み重ねていれば、きっと地元の方々が声をかけてくれるから。別にテストとかではないですけどね笑。ただもしあなたが瀬戸田で事業を展開したいと考えているならば、骨を埋める気持ちを持って移住してきて欲しいというのが本音です。」

もっと気軽に喋ることができる商店街を作りたい。
「自分はコミュニケーションが人間の本質だと思っています。どんなに辛いことがあっても周りの人と他愛もない話をすれば元気になれますし、会話している瞬間が1番幸せなんです。病気になったり、お客さんからクレームをもらったり、色々な苦悩があっても、それで乗り越えてきました。そして素晴らしい友達がたくさんできました。だからこそ今度は自分が、しおまち商店街に来てくれた人に対して、少しでも多くの笑顔を提供していきたい。コロナウイルスやオンラインで人と繋がることができるけど、やっぱり商店街で他愛もない話を笑ってしているのが一番!!」

一期一会を大切に。
「これまでの人生を振り返ると、偶然の出会いってとても大切だなって感じています。私の夫も偶然仕事で出会った人と、一生の仲になっていたりして。正直どこで出会った人と、どれだけ仲良くなれるかなんて神様にしか分からないんですよ。だからこそ新しい出会いや偶然の出会いはもっと大切にして欲しい。瀬戸田にくることでなかなか生活になれないこともあるかも知れない。ただそれ以上に新しい人やもの、体験との出会いも待っているはず。ぜひこの記事を読んで少しでも興味を持ったら来てみて欲しいな!」

インタビューを終えて

冒頭にも述べたが、インタビューを終えたときには自然と笑顔が溢れ、自信に満ち溢れていた。この感覚は決してオンライン授業や通信ゲームなどでは手に入れることができない。しおまち商店街に来た人だけに与えられる特権なのかも知れない。このインタビュー全体を通して、亀井さんの強い信念と愛情たっぷりの優しさを垣間見た。「瀬戸田はまだまだこれからだ」と言わんばかりに、自分ができることをやり続ける。亀井さんにとっては、商店街に来た人を笑顔に変えることが1番の役割であり、最強の魅力なのかも知れない。

編集:吉田凌太